クセってのは簡単に直るもんじゃなくて、それは染み付いていればいるほど直すのは難しくて・・・・・・。

要するに、オレは今かなり後悔している。



「やっべー! 遅刻する遅刻っ!!」



夏休み、規則正しい生活を送らなかったオレは、当然ながら寝坊したのだ。


ああもう、新学期早々遅刻だなんてお約束すぎる。ダサすぎる。

仁王やジャッカルあたりが大笑いしそうだ。――うわ、想像しただけでムカツク・・・!



てか、夏休みじたい散々だったし!

休みなんて名ばかりで、ほとんど部活。しかも真田の説教つき。最悪だろぃ・・・。

部活がない日は宿題に追われてたし・・・・・・。(ちなみにまだ数学が数ページ残ってるのはご愛嬌ってことで)



ってやべっ、先生時計見てるし!


とりあえず最悪の事態だけは避けたい。オレは学校への残り200メートルを全力で走った。

時刻は8時19分。かなりギリギリだけど、人間死ぬ気になりゃなんだって出来る! ・・・はず。


門を閉めようとしていた先生の横を間一髪すり抜ける。



「セーフっ!!」

「ったく、丸井・・・お前、朝寝坊は夏休み中に直しとけよ」

「いいじゃん、間に合ったんだしさっ。オレって天才的!」


だってセーフなもんはセーフだろぃ?

遅刻を間逃れたことに喜んでいるオレを見て、先生はため息をついて門を閉める・・・・・・と、




「センセー待った待ったあー! ストーップ!!!」




オレが走ってきた方から突然の待ったがかかった。

声からして女子らしい。きっとオレとおんなじことをやらかしたんだろう・・・・・・ちょっと親近感。


それに先生は少し困ったような顔をして


「ゴメンなー、助けてやりたいのは山々だが規則なんだー」


そう言って、ゆっくりと門を閉めはじめた。


「けちー! センセーのけちー!!」


当然ながら、大声で飛んでくるブーイング。

同じ境遇の顔も知らない彼女に対して少し共感を抱いていたオレが、先生に掛け合おうとした その瞬間。






タンッ!





門に手をついて、高くジャンプした。

9月になったとはいえ、まだ夏のそれである空に舞い上がった彼女の身体に釘付けになる。


「ウソだろぃ・・・・・・・・・・・・?」


だって、門って普通の女子が飛び越えれる高さじゃねーって。

ぽかんと口を開けて見守っていると、空中にいる彼女と目が合う。



笑っていた。








「それじゃ、お先! 丸井ブン太くんっ」



軽やかに着地した彼女はそのまま走り去って行く。


「ちょ・・・っ! ! ――ったく・・・・・・」


しばらくして先生が呆れたように笑っても、オレは動けなかった。




君がを奪う




こんな恋のはじまりだってアリだろぃ!?

(結局遅刻して仁王とジャッカルに笑われたけど)(ちなみに真田の説教つき)





08.16 それでも、It's a beautiful day!

このような素敵企画様に参加させていただき、嬉しく思っております。
場違い・お題勘違いな文ですが(汗)楽しんでいただければ幸いです。