授業中、いつも視界の端に入るのはさんの背中。そこに今日も彼女がいることがオレにとっての幸せその1。 あ、消しゴム落としちゃった・・・その消しゴムは転がってさんの机の下へ(ちょ、どうしよう!!) 意を決して声をかけようとすると、その前に彼女は気づいて拾ってくれて、くるっとこっちを向いて。 「これ千石くんの?」「う、うん」(どもりすぎだよオレ!)オレが取りにいけば良かったのに、 わざわざ歩いて(といっても数歩)(でもその数歩が大きい)渡しにきてくれたさん。それが幸せその2。 (あ・・・ありがとうって言えなかった)(動揺しすぎなオレ)



右斜め45度の背中



千石くんとはいつも遠い席になるけど、3学期の席替えでは斜め前になったのがとても嬉しかった。 でも残念なのは授業中とか後姿が見えないところ。だってそんなときしか恥ずかしくて見れないのに。 あ、消しゴム・・・誰のだろう(千石くんのかな)(だといいなーなんて)「これ千石くんの?」(顔うまく見れない) わざわざ渡しに行ったこと不思議に思われなかったかな、ていうか無言で渡すとか・・・最悪。

さんの背中をじっと見てたらいつの間にか授業が終わってた(オレってストーカー?) ああ、もう部活行かなきゃ、その前に苗字さんにバイバイって言いたい(ちゃんと言えるかな)

友だちには少しくらい話しかけたらいいのにって言われるけど、そんな勇気が出るわけもなく、 今日も一日が過ぎてしまった。せめてバイバイって言えたらいいのに(恥ずかしいけど!)

さ「おーい!ちょっと来てくれー」「あ、はーい!」((先生邪魔しないでよ!))

せっかく珍しく勇気を振り絞って千石くんに話しかけようとしたところを、担任に邪魔されて。 何かと思えば学級委員だからって仕事を押し付けられてしまった(なんで今日に限って!) それがやっと終わったのが6時。いろいろと帰る支度をしていたらもう7時になっていた。 (だって支度してる途中に先生が話しかけてくるんだもん)(そのうえわたしも話にのっちゃうから) まだ部活やってるのかなと思ってテニスコートをのぞいたら、誰かが一人で壁打ちしていた。 それが誰なのか気づいて驚いた(だって普段とはイメージが違う、あまりにも真剣な顔をしていたから) その姿をしばらく見ていて、つい「がんばって」と叫んでしまったわたしがいた。

なんとなく集中が途切れ途切れになってきたところへ、ふとさんの声が聞こえた気がした。 一瞬、オレってそうとう病んでるかもと思ったけど、間違いなくさんは金網の外にいて、 動揺して空振りしてしまった(さいあくだ・・・!)

「ごめん・・・急に叫んじゃって、だって、かっこよかったから」

さんの言葉が頭の中でエコーして、自分でも顔が真っ赤なのがよく分かった。 やっぱり好きなんださんのこと(実感した)(だって他の子に言われても照れたりしない)
さん、あの、さ・・・」



伝えてもいいかな



ちゃん・・・突然だけどさ」「ん?」「好きって言ってもいい?」(あの冬の日みたいに)





20070219) 少しでも暖かいと思っていただければ幸いです。