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「あー!もーまじムカツク!!なんであんなガサツなの?ねぇ、最悪じゃない?もーわかれるー!わかれるー!」
教室のドアを開ける前にがわめく声を聞いてしまった。せっかく迎えにきてやったのに、と一気にテンションが下がっていく。
またどっかの女子を捕まえて一方的に自分の話ばっか喋ってんだろう。愚痴きかされてる奴もうんざりしねぇのかな?
・・・あいつ、マジ友達関係とか大丈夫か?
俺は別れられる心配よりも、の居場所を心配しながら、ドアをあけるべきかどうか悩んだ。
「テニスばっかしてるしー、あたしが髪型変えても気付きすらしないし、」
いつものことだと解っていても、
どうもこの場には入りづれぇ。
っていうか、俺なんでこんな奴と付き合ってんだ?あー、わかんねー・・・。
「髪だって、切ったのは良いけどさー。なんかまた女よってきてるし、無駄に男前だから、・・・っていうかなんであんな男前なんだろ!?」
入るタイミングがどうとかというよりも、話相手にされている奴を救わなければ。
軽い目眩を覚えた俺は、勢いよくガラリとドアをひいた。
「あ、亮だ。」
さっきまで俺の悪口だかのろけだかをさんざん言ってたくせに、ケロリとしているは、「おそーい」と席を立って鞄を肩にかけた。
そのの前で困惑したような顔をした女子と俺は謝罪の意味をこめて会釈をする。俺、今度この子になんか奢った方が良いんじゃねぇか、マジで。
「ねー、亮ー。こんどの日曜日さー・・・」
「あ、今度の日曜は練習試合だわ」
「えー、!?」
「しかたねぇだろ、部活だしよー」
「いつもそうじゃんかっっ」
「良いじゃねぇか、その髪型可愛いしよ」
ヒステリックに声を荒げるにそう返してやると、予想もしてなかった答えに、ぐっと詰まった後になんとなく顔が紅くなったのが妙に可愛くて、
「わかれねぇからな」
と言ってやると
「あたりまえじゃん」
ぶっきらぼうに呟きやがった。
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